「飲み薬なら何とかなるけど、目薬や耳の薬はどうさせばいいの?」というご相談は、実はとても多いです。目や耳は敏感な場所なので、うちの子が嫌がって暴れてしまい、うまくさせないまま終わってしまうこともありますよね。目薬・点耳薬(耳にさす薬)は、さし方のコツと保定の仕方さえつかめれば、ぐっとさしやすくなります。この記事では、目薬と点耳薬それぞれの基本手順、嫌がる子への対処法、衛生面で気をつけたいNG行動、そしてさした後に確認しておきたいサインまでまとめて紹介します。

目薬・点耳薬は何のために処方されるの?

目薬は、結膜炎や角膜の傷、涙や目やにが多いときなど、目の表面のトラブルに使われることが多い薬です。点耳薬は、耳の中の炎症やかゆみ、汚れ・分泌物が気になるときに処方されます。どちらも、飲み薬のように体全体に作用するのではなく、患部に直接届けることで効果を発揮するのが特徴です。だからこそ、狙った場所にきちんとさせるかどうかが、効果を左右します。「なんとなくかけている」状態だと、薬が涙で流れてしまったり、耳の外側にしか付かなかったりして、十分な効果が出にくいこともあります。飲み薬のように体の中に吸収されて全身に回るタイプの薬とは考え方が違う、という点をまず知っておくと、なぜさし方が大事なのかが腑に落ちやすくなります。また、涙や耳の汚れの量・色・においなどは、通院のたびに獣医師に伝えると経過を診てもらう手がかりになるので、気づいたことをメモしておくのもおすすめです。

目薬を上手にさす基本の手順

まず、目薬をさす前に清潔な手で目の周りの汚れをやさしく拭き取っておくと、薬が届きやすくなります。さすときは、片手で軽くあごを支えながら顔をやや上向きにし、下まぶたを指でそっと引いて小さなポケットを作り、そこに1滴落とすのが基本です。目に対して真上から近づけると驚かせやすいので、横やななめ後ろから容器を近づけると嫌がりにくくなります。さした後は数秒まぶたを閉じさせてあげると、薬液が目の表面全体に広がりやすくなります。複数種類の目薬がある場合は、動物病院で指示された順番と間隔をあけて使うのが基本です。順番や間隔は薬によって異なるので、自己判断で変えず、処方時の説明に従いましょう。うまく1滴が出ないときは、容器を軽く振ってから逆さにし、数秒待ってから傾けると出やすくなります。

点耳薬を上手にさす基本の手順

点耳薬は、耳を軽く上に持ち上げて耳の穴をまっすぐにしてから、指示された分量を耳の中にさします。さした後がとても大切で、耳の付け根を指の腹でやさしく10〜15秒ほどマッサージすると、薬液が耳の奥までなじみやすくなります。マッサージすると「クチュクチュ」と音がすることがありますが、これは薬液が行き渡っているサインなので心配いりません。仕上げに、耳の外側に出てきた薬液や汚れをコットンなどでそっと拭き取ってあげましょう。綿棒を耳の奥まで入れるのは、耳を傷つけたり汚れを奥に押し込んでしまったりする恐れがあるため避けてください。マッサージのあとに激しく頭を振ることがありますが、これは薬液を耳の奥まで行き渡らせる自然な反応なので、あわてず見守って大丈夫です。

比較ポイント

目薬

点耳薬

さす場所の作り方

下まぶたを引いてポケットを作る

耳を持ち上げて穴をまっすぐにする

近づける方向

横・ななめ後ろから

耳の入り口から垂直気味に

さした後のケア

数秒まぶたを閉じさせる

耳の付け根を10〜15秒マッサージ

拭き取り

目の周りをやさしく拭く

耳の外側のみ拭く(綿棒は奥に入れない)

嫌がる子を上手に保定するコツ

目や耳を触られるのを嫌がる子は多いので、無理に一人で完璧にやろうとしないことも大切です。可能であれば家族に協力してもらい、一人が体をやさしく支え、もう一人がさすという二人体制にすると、負担もぐっと減ります。一人で行う場合は、小型犬や猫なら膝の上や壁際など、後ろに逃げにくい体勢を選ぶとやりやすくなります。さす直前に名前を呼んで撫でるなど、いつもの落ち着く合図を作っておくのもおすすめです。そして、終わったら大げさなくらい褒めて、おやつを一つあげる。これを毎回繰り返すことで、「目薬・耳の薬のあとは良いことがある」と学習してくれる子も多く、日を追うごとに楽になっていくケースをよく耳にします。バスタオルで体全体をやさしく包む「タオル巻き」も、暴れやすい子には効果的な方法としてよく紹介されます。

やってはいけないNG行動とさした後に気をつけたいサイン

容器の先端を目や耳、まつ毛に直接触れさせるのは避けましょう。雑菌が薬液に入り込み、次に使うときに目や耳へ雑菌を運んでしまう可能性があります。また、目薬・点耳薬の使い回しにも注意が必要です。別の子や、以前の通院時に処方された薬を自己判断で使うのはNGです。見た目が似た症状でも原因が違えば、合わない薬を使うことで悪化させてしまうこともあります。さらに、決められた回数より多くさしたり、自己判断で早めに使用をやめたりするのも避けたいポイントです。症状が良くなったように見えても、指示された期間はきちんと続けることが、しっかり治すための近道になります。なお、さした直後に一時的に目を細めたり、頭を軽く振ったりするのはよくあることなので、過度に心配しなくても大丈夫です。一方で、目や耳を痛がる素振り(頻繁に頭を振り続ける、床にこすりつける、目を開けられないほど痛がる等)が続く場合や、赤み・腫れが強くなる場合は、それ以上無理に続けず、早めに動物病院に相談してください。市販の目薬・点耳薬に自己判断で切り替えるのも避け、まずは処方した動物病院に相談するのが安心です。

まとめ

目薬・点耳薬は、狙った場所に正しく届けることで初めてしっかり効果を発揮します。目薬は下まぶたにポケットを作って横から、点耳薬はさした後の耳マッサージが仕上げのポイントです。嫌がる子には二人体制やご褒美を取り入れながら、無理のない範囲で続けていきましょう。気になる症状や薬のことは、必ずかかりつけの獣医師にご相談ください。